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Telemedicine Report
記事リリース日:2017年12月8日 / 最終更新日:2019年1月21日
高齢社会とオンライン診療(遠隔診療)はとても相性がよいとされています。オンライン診療が普及すれば患者はわざわざ病院に足を運ばなくてよいので、外出が困難になるご高齢患者(お年寄り)や要介護者にうってつけだからです。現在ではまだ手探り状態の部分があるオンライン診療ですが、高齢者向けのサービスは導入が急がれるべきでしょう。現段階での高齢者向けオンライン診療を紹介するとともに、日本の高齢社会にオンライン診療がどのような恩恵をもたらすのか見てみましょう。
目次
まずはこの表をご覧ください。これは厚生労働省が2014年に公表した「年齢階級別にみた受療率」です。
資料「年齢階級別にみた受療率」(厚生労働省、2014.10)http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/14/dl/02.pdf
この数字は、人口10万人に対し何人の人が医療機関の診療を受けたかを示しています。例えば「10~14歳:2,649人」となっていますが、これは10万人の10歳~14歳のうち1年間に診療を受けるのは2,649人ということを意味しています。注目していただきたいのは、「10~49歳」までは、多くても3,000人台だったのが、50歳代以降は徐々に増え、「65~69歳」になる頃には8,309人と、急増しているところです。
このことから、医療を必要としている人の多くは高齢者である、という事実が分かります。日本の医療費は2015年度に40兆円を超えて、さらに増え続けています。日本の医療の重要課題は、コスト削減です。オンライン診療(遠隔診療)は現状の医療の質を維持・向上させながら、経費を抑えることができる可能性を秘めています。ですのでオンライン診療は高齢社会である日本に恩恵をもたらすのです。
<高齢者医療とオンライン診療(遠隔診療)の相性が良い理由>
それでは次に、高齢者医療におけるオンライン診療(遠隔診療)の現状についてみていきましょう。
岡山県新見市は、高齢者医療におけるオンライン診療(遠隔診療)の先進地として知られています。同市の人口は約3万人で、65歳以上の人が全人口に占める割合である高齢化率は38%に達しています。医師不足が深刻で、人口10万人当りの医師数は全国平均の244人に対し、新見市は159人にすぎません。つまり新見市の医師は1人で6,289人の患者を診ていることになります。
新見市でのオンライン診療(遠隔診療)は2008年にまでさかのぼります。この年、市内の全戸に光ファイバーを開設し、医療機関の医師、訪問看護師、在宅患者、その家族たちをテレビ電話でつないだのです。いまでは医師だけでなく、リハビリ職やケアマネージャーたちもテレビ電話を使って患者とその家族にさまざまな指導をしています。このシステムを使っている患者は、認知症、脳梗塞、がんを患っている人が多いそうです。テレビ電話で対応できないときは訪問看護師が実際に患者宅を訪問することになるのですが、訪問看護師たちは事前に情報を得ているので、現場での業務が効率的に行えます。
医療機器をインターネットのつなぐと、自宅にいる高齢患者の見守りができるようになります。そこで医療機器メーカーのオムロンは、脈拍や体温も計測できる血圧計をネットにつなぎ、遠隔地の医師が高齢患者の様子を把握できるシステム「ウェルネスリンク」を開発しました。このシステムを応用すれば、認知症患者の状態が悪化したときに医師や介護関係者に連絡することも可能になります。認知症状が悪化すると、患者の活動量や体重が減少するので、その兆候を医療機器がつかんで医師に情報を送信するのです。
群馬大学附属病院や科学技術振興機構などは、高齢者の薬の飲み忘れを防止する「服薬支援装置」を開発しました。高齢患者が薬を飲み忘れると、薬の効果が得られず病気が進行してしまいます。
例えば不整脈の薬を飲み忘れると、突然死のリスクが高まります。しかし薬の飲み忘れは、本人が苦しむだけではありません。認知症患者が必要な薬を飲み忘れると問題行動がエスカレートして、介護家族が疲弊してしまいます。介護施設や在宅医療の現場では、服薬管理が重要な仕事になっています。この服薬支援装置は、服薬管理を手助けするのです。
服薬支援装置は箱型の機械で、電子レンジほどの大きさです。この機械の中に一包化した薬を入れておくと、決められた時間にアラームが鳴り1回分の薬が出てきます。そのアラームに気が付いたご高齢の患者が薬を飲む、という仕組みです。“一包化した薬”とは、1回に飲む複数の薬を1つのビニール袋に入れた状態のものです。この服薬支援装置を在宅の高齢患者宅に置いておけば、患者は確実に薬を飲むことができます。もし装置から薬が出ているのにご高齢の患者が取り出さなかった場合、一定時間がすぎるとネット回線を使って医療機関や介護事業所に連絡がいきます。さらに服薬支援装置には通報スイッチが付いていて、ご高齢の患者が具合が悪くなったときにそれを押せば、やはり医療機関などに連絡が行くのです。
日本遠隔医療学会の常務理事の長谷川高志さんは、オンライン診療(遠隔診療)を高齢者医療に活用するときに、技術面やネットワークの構築で困ることはないと述べています。長谷川さんによると、検査画像の解析やペースメーカーのモニタリング、テレビ電話による医師の診察などの技術開発は、現状、かなり進んでいるというのです。医療機器メーカーにとってオンライン診療は将来性が有望な市場なので投資が進み、ハード面はかなり充実してきています。要は、ハードをどうやって使うかが課題なのだそうです。ペースメーカーのモニタリングとは、不整脈治療の一環で行われます。不整脈患者の体内に埋め込んだペースメーカーという医療機器が、患者の状況をデータ化し、そのデータを医師が観察するのです。医療機器メーカーの日本ライフライン株式会社は、ペースメーカーのモニタリングとオンライン診療(遠隔診療)をドッキングさせたスマートビュー遠隔モニタリングを開発しました。ペースメーカーが読み取った患者の状況を、患者宅に置いた「モニター」という機器が受信し、モニターがインターネット経由で医師に情報を送るのです。スマートビュー遠隔モニタリングの対象となるのは、不整脈という1つの病気にすぎませんが、このような方法は、脳疾患でもがんでも応用がきくはずです。未来の在宅高齢者医療は、とてもスマートになる(賢くなる)といえるでしょう。
オンライン診療(遠隔診療)が高齢者医療の領域で拡大するにはまだまだハードルがあると、日本遠隔医療学会の長谷川さんは指摘します。まずは行政の姿勢が変わらないことには、本格的な導入は難しいでしょう。厚生労働省は「オンライン診療を否定しないし、効果も上がっているのは認めている、しかし医療は直接の対面診療が原則」という立場を崩していません。また市場(マーケット)の観点からも、オンライン診療が高齢者医療で拡大するにはまだまだ課題があります。現在において、儲かっているオンライン診療は画像分析の分野です。
大学病院や総合病院では、毎日膨大な件数のCTやMRIの検査を行っているため、自前では画像分析が追い付いていない状況です。そこで大規模病院では、CTなどの画像データを専門機関に送信し、画像分析をしてもらっているのです。これもオンライン診療のひとつです。画像分析の件数は年間200万枚に及び、これくらいの量になるとビジネスになるのですが、そのほかのオンライン診療の分野では、まだその域に達していません。先ほど紹介した群馬大学の服薬支援装置も、まだ利益が出る状態ではありません。
高齢者医療の第一線で働いている医師や看護師たちは、オンライン診療(遠隔診療)の導入を待ち望んでいます。オンライン診療が充実すると仕事の効率化が図れるため、日常業務の中の無駄な仕事が減り、これまで以上に高齢患者のケアに集中できるからです。課題はやっかいなものですが、課題は伸びしろでもあります。高齢医療におけるオンライン診療はまだまだ伸びるということです。
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